赴く(おもむく)

その方へ向かって行く。状態がその方へ向く。気が進む。

同義語は「向かう」「行く」。

神聖ゼテギネア帝国第一皇子ガレスの召喚に応じ、たった1人でアヴァロン島最北の町、アムドに赴いた。(Stage 5)
彼女は最後にギルバルドのところに赴いた。(Stage 7)

「向かう」「行く」よりも使用例が少なく、Extra Stage入れても3回しかない。たきがは的には 行く<向かう<赴く ぐらいに、「わざわざ行った」んだぞーと強調したい時に使うことが多いせいだろう。しかも「赴く」という現在形での使い方が皆無なのは、「これから行くぞ」って気持ちよりも「行ったぞ」って方で使いたいからであろう。
 そう考えると、「行く」という言葉は最も自然な、「行く」という行為を強調するまでもない時に使うので、汎用性があると言えなくもない。

上の例で言えば、(Stage 5)だと主語が前の文で書かれてるので抜けてるけど(日本語だから、毎文「○○が」って主語は使わないということ)ロシュフォル教会大神官フォーリスが、というのが主語。その後の展開をご存じの方にはここで「赴いた」と使う理由、なんで「行った」「向かった」では駄目なのか、という理由もおわかりかと。(Stage 7)の彼女は主人公グランディーナのことで、解放軍内を一巡りして、という記述から続く。ここも「行った」「向かった」では駄目なんである。逆に「行った」「向かった」で代用できるならば、「赴いた」なんて使う必要もないってことだな。

去る(さる)

ある所・状況から離れ、ほかへ行く。移りめぐってくる。

同義語は「行く」「戻る」「帰る」。反対語は「来る」。

アラディが先に去るとグランディーナはその場に両膝を落とした。(Stage 5)
休もうとしたがなかなか寝つかれず、老占星術師の脳裏にはさまざまな考えが飛来しては去っていった。(Stage 6)

基本的に「いっちゃった」意味が強い言葉だけど、物事の状況が変わった、という意味で広く使われる。言葉を強調したい時に「立ち去る」とか「運び去る」のような複合語で使われることも多いか。
同義語に、それぞれの反対語に挙げた「行く」と「戻る」や「帰る」を挙げたのは、中心から移動していく、という意味があるから。この点、「来る」と反対。

戻る(もどる)

ある場所からいったん移ったものがもとへかえる。あとへひきかえす。以前の状態に復する。

同義語に「帰る」「返す」。反対語は「行く」「出かける」。

そのものずばりで、最初の意味での使い方のが多いと思うんだけど、最後の意味は「元に戻る」と状態が回復することにも使う。でも、それ以外の使い方が思いつかない。そういう意味ではかなり汎用性がないな、と思ったんだけど、謎かけしてるわけじゃないんで、はっきりと「○○する」と伝わった方が言葉としてはいいね。

それで彼女はいったん野営地に戻り、まずウォーレンを見つけると旗を押しつけた。(Stage 4)
ポグロムの森での一件以来、彼は若い者のなかでも一目置かれているがエマーソンとのよりはじきに戻したらしい。(Stage 4)

で、前にえらい勘違いを書いてしまいまして、「サ変動詞は代用があるからやらない」って、何を大嘘ぶっこいてるんでしょ。その場でサ変動詞をいくつか考えてみればわかることでした。申し訳ない。

来る(くる)

 こちらに向かって近づく。自分のいる場所を中心に見立てて、物事とか人物、現象が中心に近づいてくるのを中心の側から言うこと。

 同義語に「戻る」。

 反対語に「行く」だと思ってたんだけど、どっちが動くかという主体の違いなので、実は同義語の間違いかもしれない。でも「自分が来る」という言い方はしないから、やはり反対語でいいのか。

 「よくここまで来たわね、誉めてあげるわ。」(Sidestage 1)
 デネブの震えが来るほどの美貌が見る見るうちに怒りにあふれた。(Sidestage 1)

 例の「震えが来る」のも、現象が中心である自分にやってくるということなんで意味合いは同じ。ただ、「行く」という言葉が自分が主体となって動く、と積極的な意味を持っているのに対し、主体は主体なんだけど、「来る」の方は「来る(のを待ってる)」という意味が言外にあると思うので消極的、受け身という感じか。

帰る(かえる)

もとあった所へ戻る。折り返す。立ち返る。
「返る」とも「還る」とも書く。

同義語は「戻る」。反対語は「行く」「発つ」「向かう」など。

帰る、返る、還るで一応使い分けとります。「帰る」が一般的。あとの2つでカバーできない範囲に広く対応。「返る」は「物を返す」「返事が返る」という言い方をするように、人ではなくて物の動きに。「還る」がいちばん狭くて「帰還」「生還」のような「戻ってきた!」と強調したい時用。

父の言葉を思い出し、大好きな母のためとはいえ、帰る帰れなくて彼女は半べそをかき始めていた。(Stage 6)
それに一族郎党、所領も失ったランスロットには純粋な好奇心という以上に旧ゼノビア領に帰る理由がなかった。(Stage 6)
四方八方から無数の鐘とベルの音が返ってきたのだ。(Stage 8)
「安らぎを知らぬ魂よ、あるべき処に還れ!」(Stage 3)
還ってくれ!!」(Stage 3)

「返る」が例がないなぁ。ほとんど「返す」か複合語としての「返る(振り返る)」でした。「還る」はどっちも幽霊に言ってます。ちなみに「召喚」が呼び出しで「召還」が還す時用。

「帰す」との違いは、「帰る」が自動詞で「帰す」が他動詞。「ランスロットが帰る」「ランスロットを帰す」でわかるかと。

発つ(たつ)

出発する。出かける。「起つ」「立つ」とも書く。「旅立ち」って書くと「立つ」でも同じなんだなとわかる。ただ、私的には「立つ」はあまり使わない。「旅立ち」はともかく、「立つ」と使う場合には「人が立つ」とか「煙が立つ」みたいに下から上への動きに使う方が圧倒的に多い。動きがあるという点ではどっちも似たようなものだけど、「ゼルテニアを立つ」という文章と「ウォーレンが立つ」という言い方を重ねた場合、字面で一発で区別がつかんというのは好みじゃないの。文脈でわかるようにというのも文章の書き方だと思うんだけど、意図的に漢字を変えておいた方がいい。それに見た目にも動きなくなるし。で、水平の動きには「発つ」、垂直の動きには「立つ」としてる。

同義語は「出かける」「向かう」。反対語は「帰る」「戻る」。

ゼノビアを発って3日目、白竜の月18日、船はもうじきアヴァロン島に着く。(Stage 5)
「明日に発つ」(Stage 5)

「発つ」と言うとまだ動いていない。「発った」と言うともう出かけたけど、まだ着いたかどうかわからない。「発った」の方が時間的に広いのは「出かける」などと同じ。「発った」とか「出かけた」だと、動き出したという行為だけを指しているからかな。
「出発」という熟語があるように、「発つ」という言い方には「立つ」よりもより積極的な印象がある。

ちなみにこの辞典では「○○する」といういわゆる名詞に「する」つけて動詞にするサ変動詞は入れてない。サ変動詞も入れると動詞はすごく増えるので、やめることにした。サ変動詞はだいたいふつうの動詞で置き換えできるものだと思うしね。

出かける(でかける)

目的地に行くために出る。出向く。出ようとする。

同義語に「発つ」「目指す」「向かう」「出る」。反対語は「帰る」。

いままでいちばん使うタイミングがはっきりしてる言葉だね。「出かける」だったら玄関のドアの辺りに立ってるところかまだ支度してるところ。でも「出かけた」になると、例のように過去のある時点でどっか行っちゃったんだけど、どこ行ったかわからん、という使い方で指してる時間が広い。まぁ、過去形はみんな広いんだけど、でも語尾が「〜た」「〜た」ばかりの文というのは読みづらい。リズムが悪いのよ。なんで適当に「〜る」などを混ぜつつ。

いきなり3人で、しかもグリフォン出かけたものだから、よほどの重大事態発生と思われたのかもしれない。(Stage 4)
ユーリアがその後を追いかけ、出かけることになったアッシュ、ウォーレン、ランスロット、ギルバルド、カノープス、それにマチルダもそれぞれ立った。(Stage 5)